(続き)
四品目はちょっと雰囲気を変えて。
蜂の巣タロイモコロッケ
飲茶では結構定番の具材、芋角。江西チワン族自治区茘浦県のものが有名。これをつぶして、中に具材を包み俵形に揚げたコロッケだ。
ちょっと粘りけのある里芋コロッケというようなお味。日本人にはなじみのあるやさしい食感だ。しっかりと味付けがされているので、タレをつけなくても十分美味しい。
でもこのメニューの一番のポイントは、なんと言ってもその外観。まるでレースのような網目状の薄いベールを表面にまとっている。(写真が撮れなかったので、ビジュアルはこちらやこちらからどうぞ。)無数の穴が開いた様子が蜂の巣を思い起こさせることから、蜂の巣という名前がつけられているそうだ。
この穴は、生地を作る時に入れる澄麺という膨張剤(浮き粉を熱湯で練ったもの)が、揚げている間に膨張してきてあくのだそうだ。
さすが高級ホテル。このレースの繊細さと言ったら!触ればほろりと崩れてしまいそうなくらい、細やかな穴が無数にあいている。カラリとさっぱり揚がっていて、ちっとも油っぽくない。
蜂の巣レースのサクサクッとした軽い歯ごたえと、中身のネト~ッとした重たい食感のコントラストが、このメニューの特徴。特にこのレースの部分のサクサクがなんとも言えない。サクサク、パリパリしているかと思えば、口の中で咀嚼していくと、まるで飴のように歯にぴとっとくっつくような粘りが出る。そしてお芋のしっとり滑らかな食感。千変万化の歯触りだ。
五品目。
細切り大根のサクサクパイ
大根のパイ?いやいや、これも大定番の点心。大根の細切り(拍子切りよりちょっと細いくらいだった)をおいしいスープで味付けして、パイ生地で包んで天火で焼いたもの(多分)。表面がサクサクで、中はしっとり上品な味付けの大根。ここのは人参の細切りも入っていて、彩りもきれい。味的にも変化があって楽しい。ちなみに、中国語では、大根も人参も羅卜。人参だと紅羅卜(hong2luo2bo)、胡羅卜(hu2luo2bo)になる。
六品目。
鶏肉入り蒸し餃子
細かく切った鶏肉や各種野菜の餃子。あっさりとしてとても美味だったのだが、ここまでの印象が強烈すぎて、ちょっとかすんでしまった感じは否めない。
実はこれ、オーダー間違いではないかと思うのだけど、まあおいしかったのでいいや。
七品目。
楊枝甘露
ここからはお待ちかねのデザート。
「どうします?」
メニューを開いたSさんが聞く。
「いつもマンゴープリンというのも芸がないので・・・これにします。」
「あっ、いいですね。おいしいですよね。」
それが楊枝甘露。なんでも数年前に香港で大ブレイクした人気メニューらしい。なんか最近では永谷園が楊枝甘露の素を出しているようだけど、真偽のほどは定かではない。私自身は、今回教えてもらうまで知らなかった。
どういうデザートかと言いますと・・・。
まずはフレッシュマンゴーをふんだんに使ったマンゴージュースを思い浮かべよう。そこに、ザクザクとさいの目に切ったマンゴー果肉をドサドサッと投入。これだけでマンゴー好きにはたまりませんな。
ここにさらにココナツミルクを注ぎ入れる。うーん、一気にまろやかなコクがプラス!まだまだ終わりませんぞ。
ここでタピオカの登場。透明つぶつぶのタピオカもたっぷり投入。これで十分おいしいじゃん?いやいや、ここからが本番!
ここに、ザボン(グレープフルーツ)の果肉とジュースを入れちゃうのね!これで爽やかな酸味が加わるという訳!
これが楊枝甘露。各材料のブレンド加減がこのメニューのキモであり、お店によっていろいろ違うのだそうだ。
このお店のではないけど、一応写真を載せておこうかな。

↑ここのはココナツが控えめだった。詳しいことはまた後ほどアップします。
さて、スプリングムーンの楊枝甘露、絶品であった!マンゴーの甘み、ココナツミルクのこく、ザボンの酸味と苦みが実に見事に調和。特筆すべきはザボンの苦み。くどくなりがちなマンゴーとココナツミルクの味を程よく抑え、お子ちゃまのおやつではない、オトナのスイーツに仕上がっている。
どの材料をどれだけ入れるか、配分をどうするか、どのアイテムを際だたせるかは、それぞれのお店の工夫のしどころであり、食べ手の好みも分かれるところ。スプリングムーンの楊枝甘露は、私のストライクゾーンにドンピシャリだった。
八品目。
栗クリーム入りタピオカココナツの焼きプリン
「秋らしく、栗でいきましょう。」
楊枝甘露で即決した私の横で、Sさんが逡巡した末に頼んだのがこの一品。26度もある香港の11月。でも、それでもやっぱり秋は秋。味覚だけでも秋らしく。
形状は焼きプリン。その中身がタピオカココナツな状態をまず想像してほしい。焼いた後冷やしてあるんじゃなくて、焼きたてのアツアツ。そのまま口に入れるとハフハフどころか、アチチッと火傷してしまいそう。猫舌の方はしばしガマン。
はやる心を抑えつつレンゲをプリンに差し入れて、お碗沿いにぐりんとすくうと、底のほうから焦げ茶色のクリームがお出ましになる。ひゃ~、マロンクリームだーっ。
ドキドキしながらほおばれば、口の中に広がるタピオカココナツの上品な甘さ。そしてマロンクリームのまろやかな味わい・・・うーん、やっぱり秋はいいのう。しみじみ。南国フルーツと秋の味覚の見事なハーモニー。こんな組み合わせは香港スイーツならではだ。うーん、香港スイーツはいいのう。
匠に脱帽。
B級ローカルグルメ道ばた系レストラン信奉者の私を、完膚無きまでにノックアウトしたスプリングムーン。お値段は張ったけど、やはりそれだけのものはあった。
いや、おごってもらったんですが。Sさん、本当にごちそうさまでした。今度北京にいらした折りには、ぜひにぜひに私にご馳走させてください!
はあ、長くなってしまった。ここまでつきあって読んでくださった方、ありがとうございました。そしてお疲れさまでした。
■(わざわざ載せるまでもないけど)お店情報はこちらから
香港半島酒店 嘉麟楼(ザ・ペニンシュラ香港 スプリングムーン)
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